お仕事のご依頼・お問い合わせ

世界初! ということは旅館で初! 水素調理って何だ??

「水素」と聞くと、わたしにとっては水素自動車や水素発電、はたまた吸入すると疲労回復できる「水素吸入器」のイメージ。
2023年7月、脱炭素で注目される水素エネルギーを使った取り組みが箱根のお宿・強羅花扇円かの杜で始まっていました。

それが、「水素調理」!
水素調理って何だろう??? と思いながら、試食会に参加してみると・・・・・・。


「水素」を調理で使うのは、(おそらく)世界初の事例」なのだといいます。(←開発した会社さんの見解)
ということは、「日本初!」だし、「旅館初!」

きっかけとなったのは2019年に箱根を襲った水害でした。
3日間で1000㍉に達する豪雨のため、姉妹館の早雲閣に土砂が流入し、やむなく閉館へ。

「環境問題は待ったなしの課題。子どもたちや次の世代へ美しい地球を残すためにやるべきことは、環境を守ること。大地に恩返しをしたい」(女将の松坂美智子さん)。
水害を契機に、環境問題に思いを巡らせていた女将さんの熱い想いによってこのプロジェクトはスタートしました。


円かの杜では2022年から23年にかけて「水素調理」ができるコンロを3台導入しました。このコンロは、水素エネルギーを使って食材を調理するため、二酸化炭素(CO2)の削減ができて、なおかつ素材がよりおいしくなるというメリットがあります。

今回試食したのは、鶏肉、牛ヒレ肉、そしてうなぎ。
鶏肉はプロパンガス調理したものと水素ガス調理をしたものを食べ比べてみましたが、同じものでありながら、臭いと噛みごたえが全然違う!!
水素ガス調理をしたものの方が臭いがなく、肉質がしまってジューシーな味わい。


牛ヒレ肉は外側はパリッと、中はやわらか。うなぎは焼いただけだというのに、蒸したようにふっくらと仕上がっていました。
ふしぎ〜!!

その秘密は、一つは温度。
プロパンガスなら1700〜1800℃のところ、水素ガスは実験室ベースでは2500℃もの高温になるといいます。

加えて湿度。密閉せずとも水分を含んだ蒸気が食材を包み込んで、外側はパリパリ、中はやわらかに。

さらには、
✓焼き上がりは10%強、早くなる
✓空気より軽いので溜まりづらく拡散する。したがって、取り扱いはプロパンガスや都市ガスと変わらず、水素ガスだからといって危ないわけではないそう・・・。

いまのところ、水素ガスはプロパンガスよりも2・5〜3倍は高いというランニングコストの問題はあるけれど、将来的に料金が下がれば、こういった食材調理の方法が一般化するのかもしれないですね。


この水素調理器は多摩大学ルール形成戦略研究所の水素利活用に関する研究会からスピンアウトした、水素の利活用コンサルティングを行うベンチャー企業が開発したもの。G7広島サミットでも展示されたそうです。

旅館の厨房を考えたときに、プロパンガスはCo2の排出量は年間20㌧、電気は年間40㌧(規模により異なる)。
水素コンロ3台を導入したことで、年間1.8㌧のCo2削減ができるとか。
開発したH2&DX社会研究所の福田峰之さんは「スモールスタートかもしれないが、継続していくことで少しずつでもCo2削減につながる」と話していました。

環境を守るのは、まずは自分の宿から。
環境負荷を減らすサスティナブルな宿づくりに共感するお客様も多いのではないかと思います。